コロナ禍で、副業としての業務委託を始めたり、フリーランスとして独立をしたりする人が増えているようです。そんな中目立ってきたのが取引先とのトラブル。
ずっとフリーランスとして活動していて今は特に問題がない人でも、特に独立したての頃には多くの人が近しいトラブルを経験しているのではないでしょうか?
実は来年、下請法の改正案が提出されるかもしれません。実際に2022年の通常国会にて関連法案を提出するという方針が発表されました。
今回は現在の条件の確認と、今後どのような動きになっていくのかについてまとめていきます。
フリーランスであるあるなトラブル
「取引先とは良好な関係を築いているし自分とは無縁だろう」と安心していると、辛い思いをすることがあります。
例えばこのような話、よく聞くのではないでしょうか?
特に多いのは金銭関係。実際に起きると相手との関係性を考えると遠慮が生じてしまい、言い出すのにも勇気が要ります。本来悩むべきでないところに脳のリソースを割かなくてはいけない状況となってしまう、それだけでも大きな損失です。
また、このようなトラブルは比較的予算の小さな案件や、中小企業や個人相手の場合が多いです。私も相手が上場企業であったり、予算の大きい案件では今のところ経験したことがありません。
- 相手側が金銭的に余裕がなかったり、何かあった際に社会的に問題になるほどの影響力がない場合だからこそ発生
- しかしこちらが金銭・時間を割いて訴訟を起こすほどの金額ではない案件
- 諦めて泣き寝入り
となる場合が多く、実際に回収を諦めたことのあるフリーランスも多いのではないでしょうか。
2022年ついに「下請法」関連法案の提出が
フリーランスや副業での業務委託契約の増加により、このようなトラブルが最近可視化されてきたことを受け、「フリーランスへの業務発注時に契約書の作成を義務付ける事業者の対象を拡大する」という方針が固められました。
来年2022年の通常国会に関連法案を提出予定とのこと。
一見複雑に見えますが、「大きな会社がその立場を悪用して個人事業主から搾取することを防止してくれる」法案となります。これを、資本金1000万以下の企業にも対象を拡大する、というのが2022年提出に向けて方針を固めている改正法案の内容です。
下請法とは、正式には「下請代金支払遅延等防止法」。これは立場の弱い下請事業者を保護するために制定されたものです。
本来、契約というのは口頭でも成立し、契約書同士は対等な関係のはずです。ただ、何かあった際に『今後の契約を切られたらどうしよう』等の懸念により強い立場で発言できない個人事業主は多く、問題となっているのが現状。
今まで資本金1000万を超える企業のみに課せられていた契約書・発注書の発行を、資本金1000万円以下の企業が個人事業主に発注する場合にも義務づける、というのが来年提出される予定の改正案となります。
個々人が考えるべきこと
フリーランスにとって良い流れになってきているのは喜ばしいことです。
しかし仮に上記の改正案が通ったとして、実際に改正・施行されるまでにはタイムラグがあります。それまでの契約で、初めてのトラブルに遭遇してしまう可能性だって否めません。
では個人として、どのような形で身を守れば良いのでしょうか?
私は「自分専用の契約書雛型を作成すること」を強くお勧めします。実際に相手がそれを了承してくれるかは別として、一度作成して手元に置いておき、いつでも利用できる状態にしておくことが大切です。
『きちんと要件定義しないまま、なんとなくなあなあにプロジェクトが始まってしまいそう』『受注したものの、ビジネス的にルーズそうな相手で不安』など、何か不安を感じた場合にも、雛型さえ持っていれば、自分でさっと契約書を作成し、相手にサインしてもらっておくことで、何かトラブルが発生した際に身を守ることができます。
まとめ
フリーランスとして働いている人、これから独立を検討している人にとって、契約関係のトラブルへの対策は切っても切り離せない課題です。特に独立したての頃は、サラリーマン時代には対等な関係を築いていた相手からの扱いが変わって、フリーランスという立場の社会的な弱さに驚く人もいるでしょう。
いざという時に自分の身を守るため、契約に関しての知識はしっかりと蓄えていきたいものです。
請求書に明示した期間を過ぎても入金されない、資金繰りの関係での遅延等。(お金がないなら依頼しないでほしかった。。)