「ゆるく働く」という言葉に惹かれる一方で、「本当にそれで後悔しないのか」と不安になることはありませんか?
多くの人がそう感じるのも無理はありません。私たちは長い間、「努力こそ正義」「がんばることが美徳」という価値観の中で育ってきました。そんな中で「ゆるく働きたい」と思うことに、どこかしら後ろめたさや迷いを感じてしまうのです。
でも、本当にゆるく働くことは悪いことでしょうか?
この記事では、そんな迷いを感じている人に向けて、「ゆるく働く」という道を選んで後悔しないためのヒントをお届けします。
「ゆるく働く」を選んで後悔する人の特徴とは?
収入が減って生活が苦しくなった
これは非常に多いケースです。理想の働き方を十分に描かず、ただ目の前の辛さから逃げたくて会社を辞めた人にありがちです。
「もう会社行きたくない」「毎日が辛い」――この気持ちに正直になったことは、決して間違いではありません。ただ、その先にどんな生活を送りたいのかを考えずに動いてしまうと、収入減という現実に打ちのめされてしまうことになります。
特にフリーランスや非正規に転身した場合、最初は思ったよりも稼げないことも多いです。そのギャップに耐えられず、「やっぱり前のほうがマシだった」と感じてしまうこともあるでしょう。
ゆるく働くという選択には、必ずしもラクが約束されているわけではない。現実をきちんと見据えておく必要があります。
肩書きが変わって、社会的に不便を感じた
もうひとつの後悔の理由が、社会的な立場の変化です。正社員を辞めたことで、結婚や住宅ローンの審査に通らなくなったり、実家の親に心配されたりと、予期せぬ不自由が発生することもあります。
肩書きに価値を感じない人もいますが、日本社会ではやはり「どこに勤めているのか」「正社員なのか」が大きな信用材料になっているのも事実。
「今の仕事が嫌だから辞める」ではなく、「今の立場を手放してでも得たい生活があるのかどうか」を冷静に考える必要があります。
後悔しないために大切な3つの視点
「ゆるく働く」とは、自分にとってどんな働き方かを明確にする
「ゆるく働く」という言葉は、人によって意味がまったく違います。
たとえば、
- 人と関わらずに自分のペースで仕事したい
- 満員電車に乗らず、在宅で働きたい
- 育児や介護を優先しながら短時間だけ働きたい
- 週3だけ働いて、残りは創作活動に使いたい
どれも「ゆるく働く」と言えますが、必要な収入やスキル、環境は大きく異なります。
自分にとって何が「快適」なのか、そして「どんな制約が嫌なのか」を言語化すること。それがなければ、たとえ今の働き方を変えても、また別の不満を抱えるだけかもしれません。
「なんとなく」ではなく、自分にとっての理想の状態を、具体的に描いておくことが重要です。
今「何に」一番ストレスを感じているのかを把握する
働き方を見直したくなるとき、多くの場合は「今の環境が合っていない」というサインです。
ただ、そのストレスの原因をはっきりさせずに働き方を変えても、根本的な解決にはなりません。
- 責任が重すぎることがしんどいのか
- 人間関係がうまくいかないのか
- 拘束時間が長すぎるのか
- 上司の圧力がストレスなのか
この原因が曖昧なまま行動を起こすと、「環境を変えたのに、まだモヤモヤする」ということになりかねません。
まずは「何が今、一番つらいのか」を丁寧に分析してみましょう。
得られるものと失うものを書き出して、天秤にかける
働き方を変えるというのは、人生の中でも大きな決断です。だからこそ、メリットとデメリットを冷静に比較しておくことが不可欠です。
たとえば、会社を辞めてフリーランスになる場合。
得られるもの:
- 通勤時間ゼロの自由な生活
- 嫌な上司との関係からの解放
- 自分で選べる仕事と時間の使い方
失うもの:
- 安定した収入と福利厚生
- 社会的信用
- 会社員特有の「守られている」感覚
書き出すことで、自分が何を大切にしたいかがはっきりします。
そしてもし、「失うものの方がどうしても大きく感じる」のであれば、退職ではなく転職を選ぶなど、別の道も視野に入れておくとよいでしょう。
「ゆるく働く」は逃げではなく、戦略である
「ゆるく働く」ことに対して、ネガティブな印象を持つ人も少なくありません。でも、ただ逃げるためではなく、自分にとって大切なものを守るために選ぶなら、それは立派な戦略です。
実際、私自身もブラックな働き方に疲れ果てて、フリーランスとして働くことを選びました。最初は試行錯誤の連続で、決して順風満帆ではありませんでした。
それでも、「これが私の理想だった」と思える今の暮らしを手に入れられたのは、「自分にとって何が一番大切か」を繰り返し問い直してきたからです。
まとめ:大切なのは、自分なりのゴールを持つこと
「ゆるく働く」という選択肢は、人生を豊かにする可能性を秘めています。しかし、その恩恵を最大限に受けるためには、「自分にとっての理想とは何か」を明確にし、計画的に歩みを進める必要があります。
なんとなく周囲に流されて働き方を変えるのではなく、自分の価値観と向き合いながら、自分だけの働き方を選びとっていく。
それができれば、ゆるく働くことへの後悔は、限りなくゼロに近づいていくはずです。
「自分の人生のハンドルを、他人に渡さないこと。」
それこそが、後悔しない働き方を実現するための、最初の一歩なのかもしれません。

