職務経歴書を長文で書くのはNG|元人事が語る「読まれない書類」の末路

ブラック企業脱出

転職活動を始めると、多くの人が時間をかけて職務経歴書を書き上げます。
しかし、実はその努力が裏目に出ている人が少なくありません。

私はかつて企業の人事担当として、毎日数十通もの応募書類を読んでいました。正直に言うと、長文の職務経歴書はほとんど読まれません

なぜなら、採用担当者は一人ひとりの経歴をじっくり味わうように読む暇などないからです。彼らが知りたいのはただ一つ。

「この人に会う価値があるか」

それを、わずか数十秒で判断しているのです。


職務経歴書が長文だと損をする理由

読み手の立場を考えていない

長々と自分のキャリアを語り尽くす職務経歴書は、一見「熱意がある」ように見えます。
しかし、人事からすればそれは「読み手のことを考えていない人」に映ります。

採用担当者は多忙です。営業の合間に書類を見たり、会議の前に数分で目を通すこともあります。そんなとき、だらだら続く文章はストレス以外の何物でもありません。

簡潔にまとめる力がないと思われる

仕事において「要点を押さえて伝える力」は非常に重要です。
特に企画・営業・マネジメントなど、人と関わる職種ならなおさら。

それなのに職務経歴書が長文だと、「この人は伝える力がないのでは?」というマイナス評価につながります。

結局、読まれない

厳しいようですが、人事は最初の数行を読んで「長いな」と思った瞬間、斜め読みモードに切り替えます。
そして結論だけを拾って、「次に進める価値があるか」だけを見て、あとはスルー。

あなたがどんなに丁寧に書いたとしても、伝えたいことが届かないまま終わるのです。


元人事が教える「職務経歴書」の正しいまとめ方

文章は短く、箇条書きで

採用担当者が最も見やすいのは「箇条書き」。
・担当した業務
・成果や実績(数値で示す)
・身につけたスキル

この3点を簡潔に書くこと。文章でだらだら語るより、よほど伝わります。

数字でインパクトを出す

「売上を伸ばしました」よりも
「前年比120%の売上達成」
と書いた方が、短いのに説得力が段違いです。

人事は数字を見ると安心します。なぜなら、評価しやすいからです。

1社につき5行以内を目安に

長文の最大の原因は「全部書こうとすること」です。
しかし、採用担当が知りたいのは「この人を面接に呼ぶ理由があるか」だけ。

だからこそ、各社の経歴は5行以内にまとめるのが理想です。

読み手が次に知りたいことを想像する

職務経歴書は「自分史」ではありません。
「会って話を聞きたい」と思わせるトレーラー映像のようなもの。

映画の本編をすべて見せたら、誰もチケットを買いませんよね。
職務経歴書も同じで、全部書いてしまったら面接の余地がなくなります。


実際にありがちな長文の例と改善例

NG例

新卒でA社に入社し、法人営業を担当しました。入社当初は成果が出ず悩みましたが、先輩のサポートや自己研鑽によって徐々に結果を出せるようになりました。その後、顧客数を増やす施策に取り組み、売上の向上に貢献しました。また、後輩指導も担当し、チーム全体の成長に寄与しました。

→読みにくい、要点がぼやけている。

改善例

  • 法人営業を担当、顧客開拓に従事
  • 新規顧客獲得数:年間40件(前年比+25件)
  • 既存顧客向け提案で売上前年比120%達成
  • 後輩2名を指導し、チーム全体の成果向上に貢献

→数字と箇条書きで一気に「使える人材感」が伝わります。


「熱意」は長文ではなく構成で伝わる

多くの人が「熱意を伝えるために長文になる」と誤解しています。
しかし本当の熱意とは、相手が知りたいことを想像して、簡潔に書く工夫の中に表れます。

つまり、長文は熱意ではなく「自己満足」。
本当の熱意は相手の時間を奪わない工夫にあるのです。


人事の本音:「会う価値があるか」だけを見ている

ここまで元人事の立場からお話ししてきましたが、最後に強調したいのはこれです。

採用担当者は、あなたの小説を読みたいわけではありません。

・この人は実績があるか?
・うちのポジションに合いそうか?
・一度会ってみる価値があるか?

この3つを、数十秒で判断しています。
だからこそ、職務経歴書は短く・わかりやすく・数字で。

それが選考突破の近道です。


まとめ

  • 職務経歴書は長文だと読まれない
  • 人事は「会う価値があるか」を数十秒で判断している
  • 箇条書き・数字・簡潔さが最重要
  • 熱意は文章量ではなく「相手目線」で示す

転職活動は、書類の完成度で大きく結果が変わります。
長文で「伝わらない努力」をするより、短文で「伝わる工夫」をする方が、確実にあなたの未来を変えていきます。