「まだ仕事が終わっていないのに、定時で帰る人がいる」
職場で一度は感じたことがある違和感ではないでしょうか。
自分は残業して対応しているのに、隣の席の人はサッと帰宅。
その姿を見て、ズルい・無責任・評価されないはずと感じる人も少なくありません。
一方で、最近は「定時退社が正義」「仕事が終わらないのは会社の問題」という価値観も広がっています。
このテーマは、単なるマナー論ではなく、働き方・評価・生き方の話でもあります。
「仕事が終わってないのに帰る人」が増えた背景
まず前提として、このタイプの人が増えたのには理由があります。
労働時間より成果を重視する評価制度
時間ではなくアウトプットで評価する企業が増え、「残っている=頑張っている」ではなくなりました。
人手不足と業務の属人化
仕事量が多すぎて、そもそも定時内に終わらないケースも珍しくありません。
その中で「今日はここまで」と線を引く人が出てくるのは自然です。
プライベート優先の価値観
家庭・副業・自己投資など、仕事以外を大切にする人が増えました。
全員が会社最優先で動く時代ではありません。
問題なのは「帰ること」ではない
ここで重要なのは、仕事が終わってないのに帰る=悪と短絡的に決めつけないことです。
問題の本質は、次のどちらかです。
引き継ぎも共有もせずに帰る場合
・チームの進捗を無視
・誰かに負担が丸投げされる
これは確かに不信感を生みます。
業務設計そのものが破綻している場合
・仕事量が多すぎる
・優先順位が曖昧
・評価基準が不明確
この場合、帰る人よりも仕組みの問題が大きいと言えます。
帰る行為そのものではなく、その人の仕事の向き合い方が問われているのです。
評価される「定時で帰る人」の共通点
同じように帰っていても、評価される人とされない人がいます。
評価される人の特徴は明確です。
やるべきことが明確
・今日やる仕事を朝から整理している
・優先順位がはっきりしている
途中経過を共有している
・「ここまで終わっています」と伝える
・問題点を先に出す
締切を守る実績がある
・最終的に仕事が回っている
・信用残高が積み上がっている
周囲は「帰っている」ではなく、結果として仕事が回っているかを見ています。
評価を落とす「仕事が終わってないのに帰る人」
逆に、評価を下げやすいケースもあります。
常に誰かのフォロー前提
自分が帰った後、誰かが尻拭いする構造が続くと不満は溜まります。
説明や共有をしない
「まだ終わってないけど帰ります」は、最も誤解を生みやすい態度です。
忙しいアピールだけは一人前
成果が見えないまま主張だけが強いと、信頼は失われます。
ここでもやはり、問題は時間ではなく姿勢と責任感です。
モヤモヤする側が疲弊しないための考え方
「仕事が終わってないのに帰る人」にイライラしてしまう人ほど、真面目で責任感が強い傾向があります。
ただ、他人の行動をコントロールするのは難しいものです。
視点を少し変えてみてください。
自分は何で評価されたいのか
残業時間でしょうか。それとも成果でしょうか。
その人の分まで背負う必要はあるのか
頼まれていない仕事を抱え込んでいないか、一度立ち止まる価値があります。
仕組みの問題を個人で抱えていないか
業務量や役割分担は、個人の努力で解決できないことも多いです。
「頑張りすぎない選択」も、長く働くためのスキルの一つです。
仕事は人生の一部であって、全部ではない
仕事をきちんと終わらせる姿勢は尊いものです。
同時に、仕事に人生をすべて預ける必要もありません。
定時で帰る人が必ずしも無責任ではない。
残っている人が必ずしも正義でもない。
大切なのは、自分が納得できる働き方と、周囲と破綻しない関係性です。
「どう働くか」は、「どう生きるか」とつながっています。
他人の帰宅時間より、自分の人生に目を向ける。
その視点を持てたとき、職場のモヤモヤは少し軽くなるかもしれません。
