サラリーマンの方、資格取得費用が実質最大70%OFFになる「教育訓練給付制度」はご存知でしょうか?
2018年1月に行われた雇用保険法の一部改正により、教育訓練給付制度は大幅に拡大されました。この制度は、資格取得にかかる費用を実質最大70%OFFで補助してくれるものであり、サラリーマンの方にとって非常にお得な制度と言えます。しかし、実際にこの制度について知っている人はまだまだ少ないのが現状です。
では、具体的に教育訓練給付制度とは何なのか、その仕組みや利点についてまとめてみます。
サラリーマンの資格取得に使える「教育訓練給付制度」とは?
「教育訓練給付制度」とは、国の指定を受けた教育訓練期間を使って自己啓発や資格取得を行なった際に、負担した費用の一部を国から支給してもらえるという制度です。
※ 図解出典:厚生労働省『教育訓練給付制度とは』
種類は2つ!「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」
教育訓練給付制度には、「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」という2種類があります。
一般教育訓練給付金
厚生労働大臣指定の教育訓練を終了した場合、負担した授業料等の一部が支給されるという制度。
対象者
教育訓練給付制度の対象者には以下の条件があります。
- 雇用保険の被保険者である期間が、受講開始日時点で3年以上(初めての場合は1年以上)あること。
- 退職者の場合は、受講開始日時点で退職日の翌日から起算して1年以内(妊娠・出産等の場合は4年以内)であること。
- 前回の訓練給付金の受給日から3年以上経過していること。
これらの条件を満たす方が教育訓練給付制度の対象者となります。制度の目的は、長期的な雇用の安定やスキルアップを支援することです。
受給額について
- 教育訓練施設に支払った教育訓練経費のうち、20%に相当する額が支給
- ただし支給は10万円が上限
- 逆に4千円を超えない場合は支給されない
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金は、一般教育訓練給付金と同様に、厚生労働大臣が指定した教育訓練を修了した場合に、負担した授業料等の一部が支給される制度です。しかし、専門実践教育訓練給付金の対象となる教育訓練は、高度な専門性を必要とするものや長期にわたる訓練に焦点を当てています。
この制度を利用することで、高度な専門性を身につけるための教育訓練に負担を軽減することができます。例えば、専門的な技術や知識を要する職業に進むための訓練や、長期にわたる訓練が必要な分野において、経済的な負担を軽くする助けとなります。
対象者
専門実践教育訓練給付金の対象者には以下の条件があります。
- 受講開始日時点で、雇用保険の被保険者であった期間が10年以上(初めての場合は2年以上)であること。
- 退職者の場合は、受講開始日時点で退職日の翌日から起算して1年以内(妊娠・出産等の場合は4年以内)であること。
- 前回の訓練給付金の受給後から10年以上経過していること。
これらの条件を満たす方が専門実践教育訓練給付金の対象者となります。
受給額について
- 教育訓練施設に支払った教育訓練経費のうち、40%に相当する額が支給
- ただし支給は32万円/年が上限(最大で96万円/3年間)
- 逆に4千円を超えない場合は支給されない
- 受講を終了後、あらかじめ定められた資格試験等に合格した場合はボーナスとして20%が事後加算
教育訓練給付金を利用するメリット
昇進、転職に有利
資格取得は自分のキャリアに大きく影響を与えます。直近で利用しないとしても、将来転職を考える際に準備しておくことは損にはなりません。
また、取得する資格の種類によっては、合格時に給付金額が増えることもあります。このボーナスがモチベーションになり、勉強が順調に進むことも魅力的です。
公的な制度を利用することへの抵抗がなくなる
個人的には、このメリットこそ最も大切なのではないかと考えております。
私たちが普段個人的に入る民間保険では、加入のメリットをコストと比較検討して考えたり、加入後にはどのような付帯サービスがあるのか、真剣に考えるかと思います。
しかし、公的な保険の場合には、自身で何も意識しないうちに天引きされ毎月払っているため、保険料の支払いというコストに対する意識が薄くなりがちです。
こういったシステムは一見複雑そうに見え、手続きも面倒そうに思えますが、一度経験してしまうとそう難しいものではないことに気付くでしょう。むしろ、あまりのメリットに驚くはずです。
そして『他にも何か利用できる公的制度はあるだろうか』という思考回路になっていきます。
これは「ゆるく働く」ことを目指す上で、とても大切なことです。できる限り利用できるものは利用して、自分の生活に負担をなくていくことが、精神的・経済的な「余裕」にもつながります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
少々複雑な制度なので、まずはざっくりと概要をまとめてみました。サラリーマンは月々雇用保険を払っているにも関わらず、天引きということもあり、払っているという認識がない方も数多くいます。
気になっている資格があるものの、受講料が高くて迷っている・・という方は、この機会に是非選択肢の1つに入れてみていただけたらと思います。
参考:厚生労働省『教育訓練給付制度』