フリーランスとして仕事をしていると一度は出会う「嫌な」クライアント。
仕事だから当たり前
それでもお客様なのだからありがたいと思わなきゃ
そのように我慢している人も多いのではないでしょうか。
しかしそのまま付き合い続けることは大変危険です。
今回は、嫌なクライアントとは縁を切るべき理由についてまとめていきます。
『嫌なクライアント』って?
嫌なクライアントと一口に言っても、人によってイメージする像は異なるかと思います。
もしかすると本記事を読んでいる多くの方は、今まで出会った具体的な人の顔を思い浮かべているのではないでしょうか。
まずはそれらのクライアントの特徴について、書き出してみましょう。
たとえば、下記のようなクライアントはいませんか?
- 態度が横柄(上から目線、タメ口)
- 案件が通常通りの流れで進まない(朝令暮改、度重なる方針転換や修正依頼)
- ビジネス的にルーズ(約束の日付・時刻を守らない、お金を払わない、期限を守らない)
- パワハラ、セクハラ(メールでの暴言や、しつこい食事の誘い)
実際に書き出してみると、多くの場合、クライアント企業そのものではなく、担当者の人柄などが原因になっていることに気づきます。
たとえば、先方のミスによる修正作業が発生した場合を考えてみましょう。追加工数は同じでも、謝罪&依頼ベースで来られるのと、指示として当たり前のように言われるのとでは、精神的なストレスは大きく異なります。
ということは、このようなストレスは「クライアントワークをする上で避けられない」ことなのではなく、「相手を選びさえすれば避けられる」ことなのです。
嫌なクライアントと付き合うと何が起こるか
では、それらのクライアントと付き合うことで起こりうるデメリットについて具体的に考えていきましょう。
ストレスでパフォーマンスが悪くなる
フリーランスとして働く中で、生産性は売上に直結する大切な要素となります。しかし、何らかのストレスが加わると生産性は劇的に低下していきます。
ストレスは大敵です。嫌なクライアントからの深夜の電話や、とげとげとしたメールの文面を見た日のパフォーマンスを思い出してみてください。
その日、いつもに比べて良いアウトプットは出来ましたか?
良質なクライアントに割く時間が減ってしまう
嫌なクライアントでよくあるのが、工数を無視した依頼。
例えば、下記のような依頼を受けたことはありませんか?
- 『使用するか分からないが、念の為〜〜〜〜を作成してほしい』
- 『依頼していた〜〜〜、やはり不要になりました』(提出後に言われる)
- 『方針が変わったので、全部差し替えてほしい』
- 『依頼しそびれていたが、〜〜〜を本日午前中のうちにできないか』
嫌なクライアントによる無駄な依頼や急な依頼によって、他のクライアントのために確保していた時間が圧迫される経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。
良いお付き合いをしているクライアントからの依頼ならば、是非やってあげてください。そういった相手にはこちらが「今回は特別に」やっていることや、その誠意も伝わるはずです。
しかし、いつもあなたの時間を搾取してくる相手に情けを見せると、感謝することもなくどんどんエスカレートしていくことでしょう。相手がテイカーの場合、ギブの姿勢を見せると搾取され続けます。
そして気づいた時には、良質なクライアントに割くべき時間が残らなくなってしまいます。
健康・精神面への被害
ストレスは健康の大敵です。アドラー心理学によると『人の悩みの大半は人間関係』とありますが、フリーランスの方にとってはそれがクライアントである場合が多いのではないでしょうか。
我慢を続けることで免疫力が下がったり、心身に悪い影響があることがあっては元も子もありません。
そのクライアントとあなたの健康とどちらが大事か、冷静に考えてみましょう。
実績・売上にならない場合が多い
どういうわけか、こういったクライアントは工数の割に大した売上や実績にならないことが大半です。当初聞いていた工数から大幅に手間が増えたり、精神的な負担が大きかったりするためです。
また、そういうクライアントに限って入金渋りや減額の申し出などが多く、それに割く時間もばかになりません。
結果、当初の額面だけ見ると一見高額の案件に思えても、実際の工数で割り算すると、非常に安い労働となってしまうことが多いように思います。
フリーで働く上で、自分の時給は下げるべきではありません。その分の工数をなくすことで他の新しい案件を受ける余裕も出てきます。
マイナスになる人脈が増えてしまう
嫌なクライアントが業界で有名だったり、人脈の広い方だったりする場合もあるかもしれません。しかし、その人経由で広がる人脈は、多くの場合むしろマイナスとなるでしょう。
類は友を呼ぶ、ということで、嫌なクライアントの知り合いも「都合の良い人」を探していることが殆どです。そういった方と繋がってしまうと、プラスにならないどころかマイナスになってしまうような人脈がどんどん広がってしまいます。また、そのようなクライアントは「仕事をあげてやっている」という認識なので、断っても断ってもしつこく食い下がってきます。
その前に、できるだけ早く切ることが大切です。
受注側と発注側は対等です。それを忘れず、常識の範囲外のことをされた場合はこちらからお断りすることで、業界全体の利益となります。
実践してみた感想
では実際に嫌なクライアントは付き合わないと決めてから、実務面で変わったことについてまとめていきます。結論、最高でした。もっともっと早く実践してれば良かったなと思います。
心配していたことは起こらなかった
まず最初に、嫌なクライアントと積極的に付き合いたい!と思って付き合ってる人はもちろんいないでしょう。しかしなぜ多くの人は関係が切れないのでしょうか。それは、付き合いをなくすことによって何かしらの不安があるからかと思います。
例えばこんなこと
- 駆け出しの頃にお世話になった相手なので、どのように思われるか心配
- このクライアントを断ったら、業界内で嫌な噂が流れるのではないか
- 取引停止を言い出すこと自体がもう怖い
- 報酬が高額なので、一度手放してしまうと売上の面での懸念がある
しかしそのような懸念は杞憂でした。
理由としては、関係を切った途端、自分の生産性が爆増(元に戻った)したからです。
今の自分のパフォーマンスというのは、深夜に連絡が来ることへのストレスや、コミュニケーションによって感じるストレス、それによって本来の自分より大幅に下がった生産性の中でのパフォーマンスです。
また人間関係についても、現在そのクライアントに時間を奪われていることによって、狭くなってしまった中でのお話です。
実際私も、嫌なクライアントとの取引を停止した途端、報酬も良くやりたいと思える新しい仕事が2つ決まりました。
もし嫌なクライアントに疲弊しているのなら、そのストレスがなくなったあなたはもっと仕事ができる人です。ベストは状態に自分を持って行けさえすれば、新しい仕事や人間関係は簡単に手に入ります。
失うことより、今失っていることに目を向けてみてほしいです。
ストレスがなくなり生産性が上がった
上記に続きますが、これもここまで効果があるものかと驚いたことの一つです。
まず朝起きた際に嫌なクライアントからのメールやチャットがないというだけで、 朝の爽やかさが全然違います。 パンドラの箱を開けるような気分でパソコン開けている毎日から、「さあ今日も頑張るぞ」と明るく前向きな気持ちでパソコンを開けるというだけで、心持ちは全然違います。
また、家族や友人との夕食時や休日・深夜など、非常識な時間帯の連絡がないというだけで、しっかりと休息をとることができるようになります。それによって毎日の疲れがその日の夜のうちに回復できるようになりました。
結果、今まであまり時間をかけていなかった良質なクライアントの仕事をサクサクと進めることができ、余った時間を自己研鑽や学習に費やすことができるようになりました。
脳疲労恐るべし。
不思議と新しい仕事が舞い込むようになった
これはスピリチュアル的な意味ではなく、実際に実感したことのひとつです。
嫌なクライアントによる精神的な疲労は想像以上に大きく、気づいた頃には時間の余裕もお金も余裕もなくなり、それによって人間関係に割ける時間も減っていました。そのクライアントの仕事のボリューム自体はそこまで大きくないのになぜでしょうか。
それは実際に業務を行っている時間以上に、疲労によって頭が働いていない時間が長かったからかと思います。
しかし付き合いをやめることによってそれがなくなり、人との交流をする中で新しいお仕事の話をいただいたり、良い関係性を築いているクライアントから新たな業務を依頼されたりする機会が増えました。
加えて、知人より「最近生き生きしているね」と言われることが増えました。
おそらく嫌なクライアントによって疲弊している時には、自分の想像以上に疲れている顔をしていたのだと思います。
いつもへとへとになっていて元気がない相手と、見てイキイキした顔の相手とだったら、どちらに仕事を頼みたいかは一目瞭然です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。嫌なクライアントは、自分で意識する以上にマイナスの影響を及ぼすものです。
またこのようなクライアントは多くのフリーランスから断られているため、少しでも協力する姿勢を見せると依存され、「都合の良い存在」として搾取されてしまう一方です。
大切なクライアントに悪影響が出ないためにも、あれ?と思ったら早急に離れることが賢明です。きちんと断ることによって、不思議なことに良いチャンスにも恵まれるものです。
是非、自分のことを大切にして、搾取されない選択をしてみてください。
参考:厚生労働省『フリーランスとして安心して働ける環境を 整備するためのガイドライン』(PDF資料)
