フリーランスの方、クライアントから提示された契約書にそのままサインしていませんか?
以前は多かった口約束での契約は少なくなったとは思いますが、契約書をまいていれば安全、というわけではありません。
内容によっては、むしろ不利になってしまう可能性もある、とても大切なプロセスです。
今回は、クライアント側から契約書のドラフト(下書き)が提示された際に、チェックすべき項目についてまとめてみました。
「損害賠償」「契約解除」の2点は絶対に
損害賠償
ここが最も大切です。業務委託契約の際にはほぼ必ず盛り込まれている条文です。
業務上の過失や納期遅延等、クライアントが被った損害に対して賠償請求をされる場合のルールです。
「自分は真面目に取り組んでいるから大丈夫」
そう思っていると危険です。
このような場合を想定してみたことはありますか?
- 納期前に親が危篤となる。一緒の時間を過ごすためには、納期までにシステムの完工が難しい。
- 家に空き巣が入った。PC内に保存していた顧客の機密情報を盗まれてしまった。
自分にとってはやむを得ない場合でも、それによってクライアントが被害を被う場合、トラブルとなります。担当者と良好な関係を築いている場合、恐らく心情的な理解は示してくれるかもしれませんが、「それとこれとは別」として、法人として損害賠償請求をされることは珍しいことではありません。
その際のリスクを減らす工夫として、以下のような追加項目を付け加えることによって、自身の身を守ることができます。
上限金額を設定
記載がないということは、上限がないということです。法人規模によっては何百万、何千万の請求をされる場合があります。
例えば保険に入っている場合はその上限金額まで等、自分の人生が変わってしまうようなリスクを避ける工夫はするべきです。
② 故意もしくは重過失の場合に限定
もし先方から送られてきた契約書ドラフトに上記項目が書かれていない場合、クライアントは「いかなる場合もいくらでも請求訴訟を起こすことができる」こととなってしまいます。
契約解除条件
契約解除条件についても注意が必要です。多くの場合、クライアント側に有利なように「こちらからはすぐに解除可能だよ。君が辞めたい場合は早めに言わないとだめだから。」となっています。
下記をしっかり確認し、条件を交渉したい場合は具体的な数値ととも提示しましょう。
- 急に仕事がなくなってしまうような契約ではないか(それをちらつかせて、無茶な要望を通そうとするクライアントもいます)
- 逆に地雷クライアントに当たってしまった場合、こちらからの契約解除がしやすいか
このあたりのリスクバランスを自分自身で考え、要望がある場合はきちんと相手に交渉しておきましょう。
言いづらい?こう考えよう
契約書至上主義の欧米では交渉が当たり前
この事実は心強いですね。ここは日本だ、という意見もありますが、実は日本でも近年は契約書を重視する傾向にあります。
オンライン上でいくらでも受注が出来るこの時代、地元の数少ないクライアントを手放すと困るような仕事が減ってきたことが原因とされています。
きちんと契約書を発行してくれない企業、一方的な条件を提示してくる企業からは、フリーランス側が見切りをつけて他の企業に移るケースが増えています。
みんな他の人の仕事の仕方を見ることはできないので、何が「普通」なのか、分からなくても無理はありません。
しかし、自分の交わした契約に責任を持つことは、むしろビジネスマンとしての当然の行動です。
「ちょっと面倒な人」と思われるくらいで丁度いい
いちいち確認や交渉をしていたら、面倒な人と思われてしまうかな・・
と心配する方もいるかもしれません。
しかし、それでいいのです。
これはプライベートの友人関係でも恋愛関係でもなく、あくまでビジネスにおける人間関係です。
- 疑問に思ったことはきちんと指摘できる人
- 搾取されることには「NO」を言える人
- 簡単には言いくるめられない人
こういった印象はビジネス現場では有利に働きます。
なめられたり、搾取の対象にされることを防げるのです。
ですので、「面倒がられて上等」の精神で、遠慮せず言いたいことを言ってみましょう。丁重に誠実に確認する分には、失礼にはあたりません。
まとめ
いかがでしたか。フリーランスとしての働き方は会社員時代と異なり、自分の身を自分で守る責任があります。
うるさいと思われようが、面倒だと思われようが、何かあってからでは遅いため、確認すべきところは遠慮せずしっかりと確認をとりましょう。